477 適性判定

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経営コラム SOLID AS FAITH 第477号
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 ご愛読ありがとうございます。第477話をお届けします。

 東京では寒く乾燥した日々が続くようになりました。弊社代表の市川は、
先日部屋の加湿器が故障し、湿度30%少々の部屋で3日間寝泊まりしていた
ら、完全に喉をやられて鼻にも症状が広がり、通院することになりました。
処方薬を飲んでもじわじわと快方に向かう程度で、なかなか平常運転に戻ら
ず難儀しています。

 インフルエンザも既に大流行しているようですが、過去10年近く接種を受
けないでいても、インフルエンザには罹患することがありません。「子供の
頃にありとあらゆる伝染病にかかったので、体が免疫のパターンの宝庫なの
だ」という有難くもない説を述べて下さるクライアントもいらっしゃいます
が、多分、「うがい手洗いの習慣化」と「保湿目的のマスク装着」が罹患し
ない主要な要因なのだろうと思います。(その割には比較的高い確率で毎冬
ウィルス性腸炎に罹りますが。)寒さの折、読者のあなたもご自愛くださる
よう祈念致します。
 
 今号は『適性判定』と題して、近年の新卒学生の就職について扱ってみた
内容です。若手社員の離職が問題となって久しく感じますが、中小零細企業
の立場から見ると、辞めにくい社員の選別と入社後の離職対策の組み合わせ
技をどの程度本気にやるのかによって、状況が大きく変わるように考えられ
ます。非認知能力の高低が結局人の質の核となっているという話が世の中に
流布し始めていますが、半年以上前に原稿が書かれた今回のお話も、非認知
能力の重要性に収斂します。お楽しみください。ご意見・ご感想お待ちして
おります。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は5営業日!!

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その477:適性判定

 就労をどう観るかを「就労観」と名付けて、北海道の私立大学で教える講
義全10回を非常勤でしていたことがある。その日は講堂に集まった200人
以上の学生にスキルやらの現実を考えさせた。講義が終わるのを見計らって、
微かに顔に見覚えのある一人の男子学生が教室に入って来た。以前一年生向
けの講義を受講した三年生の学生だと言う。
 
「先生。ゼミの教授の薦めたインターンシップで、中小企業に行ってんです
けど、社長とも飲みに行ったりして、話をして良い感じなので、ここにしよ
うかなと思っているんです。そうすれば、もう就活しなくていいし。けど、
同じゼミの連中とかは、『就職先って、そういう風に決めるもんじゃない』
っていうんです」。
 確かに私は職場の雰囲気や人間関係を重視した就活を提言している。地方
経済では企業研究ができるほどの情報発信をしている企業がほとんどないの
で、企業評価は難しい。志望職種を決めたところで、多くの中小企業では職
掌が適当だから、こだわりは選択肢を狭める。当時でさえ、今で言うVUCA
は変わらない。だから企業の将来展望も分かる訳がないから、選べもしない。
ならば、職場の雰囲気への融和度合いで決めた方が良い。

「まあ。気に入ったんなら、インターンシップからバイトに切り替えるなり
して、少し長めに付き合ってみてもいいんじゃないかな。まだ三年生だし」
と私は一頻り彼の話を聞いた後、何か条件がそろっていないような気がして、
慎重な答えを返した。

 少し前に読んだ『若手社員が育たない…』には、学生が企業を選ぶ軸には
「組織視点」・「仕事視点」・「展望視点」・「環境視点」の四つがあり、
「環境視点」を重視して入社する学生の定着率は非常に高いと説明されてい
て、全く異論がない。しかし、「環境視点」の学生も、どんな社内環境が自
分に相応しいかを理解していなければ、やはり失敗するだろう。

 著者豊田義博が見出した「環境視点」を有効にできる学生の条件を要約し
てみた。
 ■学生時代に異なる価値観の人々と交流した経験がある。
 ■学生時代にPDSのサイクルの発想で自分の行動改善を心掛けていた。
 ■やりたくないことでも、試練・修行として取り組んでいた。
 ■挫折や敗北などの経験をしている。
 ■以上の4つから自分の志向適性について仮説ができている。

 内田樹が「労働主体」と呼ぶ考え方。ダックワースが強調したGRIT。そ
れに通底するマシュマロ実験結果。五項目は「環境視点」を有効にする条件
では多分ない。五項目を揃えた学生は、儘ならない世界を知っているので、
必然的に「環境視点」になるのだろう。

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次号予告:
 第478話 『コンビニの乾いた駐車場』 (12月25日発行) 
 2019年最後の発行号は、最近漸くぽつぽつと摘発が進み始めたオレオレ詐
欺集団の動機付け方法についてじっくり考えてみます。

(完)